距骨骨軟骨損傷とは?
距骨骨軟骨損傷は、足関節の骨(距骨)の表面にある軟骨やその下の骨が損傷した状態です。
足関節ねんざやスポーツ外傷をきっかけに発生することが多く、受傷直後には気づかれず、「ねんざが治らない」として受診されることも少なくありません。
損傷が進行すると、軟骨の一部が剥がれたり、遊離した骨軟骨片が関節内を動くことで、痛みや引っかかり感の原因となります。
レントゲン検査に加えてMRI検査やCT検査を行い、病変の大きさや深さ、骨軟骨片の状態を詳しく評価して治療方針を決定します。


症状
保存治療
症状が軽度で病変が小さい場合には、まず保存治療を行います。
- スポーツ活動の制限
- 足関節への負担軽減
- リハビリテーション
- 消炎鎮痛薬の使用
などを行いながら経過を観察します。
保存治療によって症状が改善する場合もありますが、スポーツ活動時の痛みが続く場合や病変が進行している場合には手術治療を検討します。
手術治療
保存治療で改善が得られない場合には手術治療を行います。患者さんの年齢や病変部の大きさ、軟骨および骨の状態によって下記の手術方法のいずれかを選択します。
骨髄刺激法(マイクロフラクチャー法、ドリリング)
病変が150㎟未満と小さい症例、また骨端線(成長線)が残存した小児例では、状態の悪い軟骨を除去してから骨に小さな穴をあけて骨の中から出血させることで、軟骨の修復を期待する骨髄刺激法(マイクロフラクチャー法)を行います。
軟骨表面の状態が良好な場合には、軟骨を損傷しないように距骨の下側から穴をあける逆行性ドリリングを行います。これらの手術は関節鏡下に行うため、小さな傷で実施することが可能です。 術後は約3週間の完全免荷を行い、術後6週で全荷重歩行を行います。
スポーツ復帰は術後3-4ヶ月を目指します
骨軟骨片固定術
軟骨の状態が良く、軟骨下に比較的大きな骨片が存在する場合には、骨軟骨片を固定する手術を行います。
固定には、患者さん自身の骨を使用する場合と吸収性スクリューを使用する場合があります。当院では、骨癒合に有利な点が多い骨釘(患者さんの脛から採取した骨を釘状に細工したもの)を2-4本作成して骨軟骨片を固定します
また、距骨内側の骨軟骨損傷の治療には、内くるぶしの骨を切る必要がありました。
骨切りした内くるぶしの骨は骨軟骨片の固定後に元に戻して金属スクリューで固定する必要があり、挿入した金属スクリューは後日抜釘する追加手術が必要になります。
そのようなデメリットを改善するために近年、内くるぶしに8mm程度の穴をあけ、その穴を通して骨釘を挿入することで、すべての処置を関節鏡で行い、追加の手術も不要な手術方法が報告されるようになり、当院でもいち早く導入しています。


病変部は周囲より盛り上がっています。 直径2mmの骨釘を挿入します。
術後は4週間のギプス固定、4-6週間の完全免荷を行い、術後8-10週で全荷重歩行を行います。スポーツ復帰は術後4-6ヶ月を目指します。


骨癒合が得られた後のCT画像。矢印は移植した骨釘を示します。
骨軟骨柱移植術
病変のサイズが大きく、軟骨の状態も不良である症例や、上記手術で良い結果が得られなかった場合の再手術に用いられます。
膝関節の非荷重面(立った時に荷重に影響しない部位)にある骨と軟骨を専用の器具を用いて採取し、距骨の病変部に移植する手術です。病変の部位によっては内くるぶしの骨切りが必要になる場合があります。
術後は3-4週間のギプス固定、4週間の完全免荷を行い、術後8週で全荷重歩行を行います。スポーツ復帰は術後4-6ヶ月を目指します。
解説:松井 智裕センター長
